さて、怒濤の選挙が終わり。
分析なんて出来ないので、時間が流れるうちにいろいろ思ったことや感想を書き連ねてみる。



【注目の尼崎。】
伝聞ではあるが、私が報道ステーションで見かけた「候補者に『尼崎にはアナタみたいな人はいりません』と叫んでいたおばちゃん」のようなことは、まま起こっていたらしい。
一方で「宗教と政治は別」と考えて判断された人々もおられたと聞く。
そういうことはさておいても、「強固な地盤」を突き崩すのは大変だったと思う。
だが、尼崎の全てが創価学会員で締められているわけではない。
強固の地盤の奥底に眠っていた、その地盤に対する不信のマグマが田中康夫さんをきっかけにして、「もうたくさん」とばかりに噴火したのではないだろうか。
敗因が冬柴さんの対立候補者が「有名な人」であったことや、自公連立政権へ向かい風だったことだけではないと思う。
公明党は常々「権力(自民党)を監視し、もの申す立場」を取っている。
が、尼崎では「大きな権力(公明党)に挑戦する候補者」という対立軸にも見えた。
気づけば公明党は「監視する側」から、いっぱしの権力者となり、監視される側に回っていたということではないだろうか。



【公明党。】
公明党の敗因理由は「民主の風」でもなく「自民党が悪い」でもなく、「創価学会」なんじゃないだろうかと思ったりもする。
一部の偏執な信者・迷惑な宗教活動や選挙活動でお馴染み、間違っても「好まれる宗教」とは言えない団体である。
若い世代だけでなく、上の世代でも「折伏大行進」の名残もまだ色濃い。
従って「創価学会が応援するから、投票したくない」という人たちも多い。
公明党としては今回の危機にあたり、組織票以外の無党派層の票を取り込みたかったとは思うが、どんなに好感度アップのイメージ戦略に励んだところで「だって創価学会じゃん」と言われて終わってしまう。

取り込めないなら従来通り組織票が頼みになる。
が、得票数が頭打ちだとも聞く。
投票率が上がったことで、分かりやすく負けてしまった。
票田をバックにした「選挙協力」という強味は今回の選挙で崩壊してしまったんではないだろうか。
創価学会頼みにならざるをえない公明党は、党としての基礎体力が強いようで実は弱いのではと思うのだ。

政策の質で勝負してきたという自負があるなら、組織票頼りにならなくても勝てるはずだ。
太田代表は「政策が浸透しなかった」と敗因を述べておられたけれど、その浸透を邪魔していたのは「 あ の 創価学会が支持団体」というネガティブなイメージに尽きると思う。

どんは、党を解散すればいいと言う。
爆弾発言である。
学会員だから公明党から立候補する、学会員だから公明党を応援する、そういう風潮自体がそもそも不自然なわけで。
なので、学会員が徒党を組んで政治をするよりも、例えば「浄土真宗の自民党議員」「クリスチャンの民主党議員」のような、宗教は一個人の価値観・理念として、それぞれの政治思想に添う政党に入党して議員になれば良いのではという考えである。
(どのみち「あの候補者、学会員だから嫌」とは言われるだろうが)
そうなれば末端の学会員も、自分の思う通りの候補者に入れやすくなる。

ただ、「学会員だから公明党を応援する」図式が残れば、地元の学会員は応援するだろうし、各党「学会員の候補者の取り合い」になるかもしれない。
だが、政党として存在している時ほど組織票が強固に続くとは思えず、むしろ個人行動を取りやすくなったことで票が分散するように思う。
「そんな風に世の中に溶け込んでいくのが一番いいんだよ」と、どんは遠い目で呟いている。
哀愁である。
私には関係ないが。



【落選した人。】
個人的に片山さつきさんが好きなので当選してほしかったのだが、彼女が落選したのはちょっとがっかりした。
が、当選されたのは城内実さん。
地道にやっておられたと聞くので、結果として報われたんではないだろうか。
静岡7区では民主党候補者は小選挙区では敗れており(比例ブロックで当選している)、ここは「民主の風」は吹いたとは言えないように思う。

山崎拓さんが落選して良かったなー、などと思いつつ、でも森喜朗さんは当選してて、なんだかなー、と思いつつ。



【噂のあいつ。】
幸福の科学の皆さまが立党された、幸福実現党。
議席は確保しなかったものの、都市部を中心に票は獲得している。
布教地域が都市部らしい。
この党が提案している「新・日本国憲法」を読んだことがある。
もの凄く乱暴にまとめると、政教分離くそ食らえ!俺の言うことを聞け!ということらしい。
それを読む私の頭の中ではT-REXの20th Century Boyが流れていた。
む、これも神の啓示かw
個人的見解ではあるが、面白さ度に関しては創価学会は幸福の科学に負ける。



【自民党。】
これで自民と公明の縁が切れた。
歴史と実績がある自民党。
立て直して、単独で民主党と戦える政党になって欲しい。
なんだかんだ言っても、両党の切磋琢磨で日本を良くしていって欲しいと思うのだ。
「さよなら公明党、がんばれ自民党」
いろいろ書いたけれど、私の感想はこの一言につきる。



アメリカに「CHENGE」を掲げた新しい大統領が誕生したことも、影響したんではないだろうか。
「何かが変わるかもしれない」という期待が生まれたのだと思う。
そして現実に民衆の力で「変えられた」。
政権が変わっただけではない。
「選挙?興味ねーし」などとほざいた人にとって、「どうせ政治家なんて」と望みを託すことを辞めた人にとって、「どうせ何も変わらないでしょ?」と世の中を斜めに見て勝手に憂いた人にとって、「選挙で政治に参加する意識」が大きく変わった選挙だったのではないだろうか。
この関心の高さが、この投票率が、以後も続けばいいなと私は思う。