「選挙」というドキュメンタリー映画を見た。

http://www.laboratoryx.us/campaignjp/index.php

監督・撮影・編集は想田和弘氏。
監督自身の学生時代の同級生の市議会補欠選挙立候補と2週間の「どぶ板」選挙運動・その顛末を描いていた「現実の出来事」だ。
ドキュメンタリーには監督の訴えたい「テーマ」があるものだが、この映画は徹底して「観察者」の目線である。もちろん、構成表も台本も無い。音楽もナレーションもテロップまでもが、無い。
観察者の目線での映像を見てどう感じるかは、観客の自由。
切り口の面白さもさることながら、登場人物のキャラ立ち具合が面白い。
もちろん、誰一人演技をしているわけではない。だって現実の出来事だから。
主人公は山さんこと山内和彦氏。
気ままな自営業だった男が「落下傘候補」として自民党から神奈川県川崎市議の補欠選挙の候補として立候補した。
この映画に観客を引き込むのは彼の魅力が大きいだろうと思う。
奔放で、お調子モノで、脳天気なのにどこか大胆不敵。
公募で候補者となり、しかも立候補先は縁もゆかりもない川崎市。地盤も後援会もなく「電柱にもおじぎ作戦」と「地元の自民党議員の組織力と地盤を拝借」しての選挙戦で、どんどん疲労していく上に常に崖っぷちなのに、なぜか飄々とした雰囲気さえ漂わせているというツワモノ(本人は必死なんだろうけれど)。
そんな彼を勝たせる為に肝を焼く選挙参謀、彼の態度にヒヤヒヤしながら協力する若手県議会議員、政治の世界の理不尽な約束事が納得いかないしっかり者の妻さゆりさん、筋金入りの自民党員のボランティアのおばちゃん達などなど、その他の登場人物もそれぞれ個性ある面々で、彼と周囲の対比もまた絶妙である。
現実の選挙戦なんだから面白がってはいけないのだが、この映画が海外の映画祭でも評価が高かったのは、「日本の選挙戦」への興味に加えて、登場人物達の個性によるところが大きいと思う。
同時期に大きな選挙があったために、応援にかけつけた当時の総理大臣が画面に現れるシーンは圧巻(思えば小泉元総理って存在感があったんだな…)。
さすがの山さんも遠慮がちだった(でも二回握手してもらって大喜び)。
短くも濃い世界の選挙運動。
不謹慎な言い方をすれば、これは体感型エンターテイメントかもしれない。
ハレの日というか、祭というか。
何人もの候補者を勝たせてきたような風情ただよう参謀のおじさん、選挙の度に馳せ参じテキパキと手と口を動かすベテランボランティアのおばちゃん達はとても生き生きとしている。
おそらく、それだけの魔力が選挙にはあるのだろう。
地道な過程があり明確に結果がでる。
「努力の果てに報われるか・報われないか」が2週間に凝縮されている。
もちろんその2週間だけでなく、それ以前の更に地道な下準備があったりする。
自発的に取り組む人の気持ちが分かるような。
山さんは最後の最後まで「山さんらしさ」を全開に選挙戦を突っ走っていく。
そんな声をBGMにエンドロールに登場人物の名前が(総理含む)流れていくのを見ながら、「選挙とは政であり祭であるのかもしれない」なんてことを考えた(それが良い悪いは別として)。
私たち投票する「だけ」の側は、候補者を選んで投票日に投票するだけだ。
けれども、その「祭」の参加者であることには変わりない。
誰を選んで良いか分からない、政治なんてどうでもいい、そもそもつまらない、そういう声もあるけれど。
だからといって放棄するのは違うし、頼まれるままに投票するのも違う。
面白く無きことを面白く、投票で祭に参加すべし(?)。
この祭は政に通じる。
さて、そういうわけで参議院選。公示です。
こんな濃い光景が全国各地で繰り広げられる2週間がやってまいりました。
今回も妻アンチ的「選挙啓発運動」、やっときます。

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ちなみに、どんから聞いた公明党の選挙とは。
映画「選挙」でも出てくる「勝つためにやるべき戦術」に対し、惜しげもなく人材を投入(……婦人部とか壮年部とか男子部とか女子部とか……)他党に大きな差をつける組織力を元にした人海戦術で戦って戦って戦い抜いて参りたいと思いますがいかがでしょうか?!(笑)ってなとこらしい。
福本議員の記事にもあり、朝日新聞にも投書が掲載された「選挙のための会館利用」といい、経費・人材の点で他の党とはスタートダッシュから違うということだろうか。
金と権力と数さえ集めれば、選挙を制するという、なんだかうんざりするような仕組みではある。
集票力だけでいけば、猫の手も公明党も借りたい自民の気持ちは良く分かる。
かといって連立を組めばイロイロイロイロイロイロイロイロイロ面倒な相手。
なんだかんだ言って、一応は戦後日本の民主主義を守ってきたにもかかわらず「公明党は国家主義に走る自民党のブレーキとなります」などと全体主義な支持母体・党の議員にテレビ番組で言われた日にゃ、立場が無いだろうに。
それはさておき、個々の学会員は別として、全体としては意外にも宗教色はないらしい。
特に運動の中核を担うような位置にいると、それどころじゃなくなるとのこと。
とはいえ動員されてくる学会員達の中にはいるだろうけれど「功徳に繋がる」。
繋がんねーよ!
ちなみに、映画の中にも学会話が登場する。
「自公連立になってから学会員が露骨に新聞購読してくれと頼んできて困る。金はこっちが払うから名前だけ貸してくれとか言うの、なんで?」と演説会チラシを折りながら世間話をするボランティアのおばちゃん。
オメデトウゴザイマス。創価学会のリアルな奇妙さが堂々世界デビューです。