昨年の秋に新婚旅行記をアップしておりました。
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未だ、嵐山から帰らない二人。
正直、帰りたくないというのは本音だったりして。
いい加減さっさと帰ってこいよ、と言うことで旅の最後の一日をやっとアップ。
大変申し訳ございませんでした。
途中まで書いていて、今回それを探して続きを書いたのですが、物忘れが激しくなったとはいえ、さすがに覚えてましたね。
最初からまとめて書いておけばよかったのだ。間に違う話題を挟みながらアップしようと思っていたからこんなことに…。
「思った時にサッサとやれ」教訓になりました。

そのようなわけで、ものすごーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく時間がたちましたが、ようやっと「華の車窓から」高野山→熊野→白浜→京都の巻、完結です。


旅館の朝は当然、朝風呂である。
心臓に悪かろうがなんだろうが、温泉に浸さねばならない。
早朝、湯船に浸かる。浸かるというより漬かるで温泉成分を吸収するのだ。
男風呂と女風呂は夕べと入れ替わり。違った風情で惚ける。
小雨の気配、それもまた良し。営業時間はまだらしくオルゴールの店のJポップオルゴールBGMは聞こえない。

部屋に帰って身支度。その後、広間にて豪華朝食。一人用の小さな鍋に豆乳。にがりを投入して煮ること数分。豆腐鍋。
ゴージャス!人目があるので写真撮影も身悶えも辞めておく。
大人な蘊蓄雑誌やらちょい不良(ワル)オヤジ雑誌なら、もっとエスプリが利いたコピーで「ゴージャスだけじゃダメ!ちょい不良(ワル)オヤジの旅館選びのハズシ技、絶品豆腐鍋のある宿でシブい豪華さを楽しむ」となかんとか表現するのだろうけど、ちょい不良(ワル)オヤジでもない普通のオヤジを夫に持つ庶民の私は、ゴー
ジャス!これが大人の出来る楽しみなのね!と目眩を覚えるくらいである。
しかし、白浜といい嵐山といい、こんな贅沢プランが出来るのは後何年先だろうか。定年後というのだけは勘弁したい。

涙を堪えながら(嘘)旅館をチェックアウト。
営業時間の始まったオルゴールのBGMを背にJR嵯峨嵐山駅へ向かう。
行きは京福嵐山線、帰りはJR。
まずは荷物をコインロッカーに詰め込み、さあどこへ行こう。
ここで残念なお知らせ。トロッコでおなじみの嵯峨野観光鉄道は本日はお休みです。
「……………」

「……………」
そのとき、私たちは爽やかな車夫姿の青年と目があった。

人力車!
数千円(7000円だっけ?8000円だっけ?)で30分程度のぐるり嵐山コース。もう少し弾めばさらにディープに回ってもらえるそうなのだが、財布との協議の結果……。
車夫さんの軽快なガイドで竹林に突入。
それにしても実に爽快である。通り抜ける風の心地良いこと。
「本当に良いところなんですよ」と車夫さんは言う。
「自分はずっと嵐山で生まれて育って、ここで働いてるんですけどね、こんな景色も空気も良いこの嵐山で過ごせることが幸せだと思うんです」
嵐山への愛を背中に背負い、車夫さんは竹林を走る。
嵐山を愛する人に、嵐山の案内をされる私たちも幸せだと思う。

この車夫さん、しっかり筋肉はついているけれども結構華奢で、それなのに軽々と走っている。
曰く「実は言うほどでもないんですよ」。
コツか何かがあるのだろう。それはそうだ。昔はこれも交通手段のひとつだったのだから、引くのに苦労するようなものでは困る。

途中、外国人観光客に写真と撮られ、車夫さんに記念写真を撮ってもらい、野宮神社へ。
野宮神社は、伊勢神宮に仕える斎王(皇女)が身を清めたところで、源氏物語にも登場する。
日本最古の様式だという黒木鳥居もある。
叶姉妹がテレビのロケで訪れたんですよ、とニコニコする車夫さん。絵馬も奉納
境内には「じゅうたん苔」なる庭もあり、車夫さんの説明によれば、嵐山の風景を表しているとのこと。
そういえば、日本人は庭園で宇宙や風景を表すと思いつつ。
本殿は天照大神なのだが、他にもいろいろな神様がいらっしゃる。その中のひとつが野宮大黒天。そこにある神石「お亀石」をなでると願い事が叶うという。
さて、願い事と言われても。
「……みんなが元気で過ごせますように…」
大人になると、「あーなりたい」「こーしたい」などという願いを持たなくなったような気がする。
そういうわけで、私は高野から嵐山まで、ひたすら皆の健康を願い倒して来た。
再び、人力車に乗り、次は落柿舎へ。松尾芭蕉の門人の向井去来の閑居跡である。
水戸黄門一行出発シーンのロケにも使われたとのこと。
「こんなところで隠居したい」と、どん。
ああ、隠居しろ隠居しろ、さっさと学会からも隠居しろ。
落柿舎の隣には、宮内庁所轄の墓所。嵯峨天皇の娘、有智子内親王の墓所だそうである。

そこを離れ、再び嵐山の道を辿り、観光客の行き交う道に出る。勝新太郎と中村玉緒が新婚時代に住んでいた家(現在は豆腐料理のお店)を教えてもらいつつ、天龍寺の前へ。
ここで人力車を降りる。車夫さんともお別れである。
ステッカーと絵はがきをもらう。
この人力車の会社は、京都各地以外にも、鎌倉や門司、小樽、浅草等々、各地の観光地でも営業されているとのことで、「他の観光地に行かれても利用してくださいね」。

「どんよ」
「はい」
「あの引き締まった体を見たか」
「………」
「………」
ぽいんと弾力のあるどんの腹を突く。
それにしても、優雅で軽快な30分だった。
非日常な乗り物にのる、普段しないことをする、これも旅の醍醐味であり、旅だからこそ出来ることでもあると思う。
時計を見ると、タイムリミットは近い。京都を離れる予定は昼頃。
いよいよだなあと、しんみりした気持ちで世界遺産天龍寺へ。
世界遺産をいくつまわったのか、もう思い出せない。
天龍寺は庭だけを拝観することにする。
紅葉のシーズン前(旅行は初秋)の京都ではあるが、少しは葉が色を染める気配がある。
そんな気配漂う広大な回遊式庭園をのんびり歩きながら見て回る。
文化や芸術、建築は宗教があってこその発展なのだと思う。
単に人間が住むだけ、人間が楽しむだけのものであったなら、もっと違う形であったと思う。
姿形の見えない神や仏に対する概念が、人間の想像力をかき立てたのだろう。
時に神仏だけに留まらず、この庭のように自然をも取り入れて作られた芸術もある。
ただ美しい、ただ綺麗な存在なのではなく、そのひとつひとつに「物語」があるように思うのだ。

「ごはんを食べて、帰りましょうか」
そういうわけで、お昼である。
ガイドブックとしばしにらめっこ。
「………ここは、あえて蕎麦で」
「いいねぇ」
そんなわけで渡月橋そばの手打ち蕎麦屋さんへ。
1階は和雑貨のギャラリーになっていて、2階はガラス張りの景色の良い開放的な店。
窓側に向いた掘り炬燵式の席に案内される。
十割り蕎麦をオーダー。
蕎麦が来るまで、どんは蕎麦を揚げたものと景色をつまみに、昼間っからビールを飲んでいる。
こうして昼から酒が飲めるのも、車を使わない旅の醍醐味なのだ。
ビールがまろやかになる焼き物のコップで嬉しそうにグビグビと飲み干すどん。
感慨深げにため息をつく。
「次はいつ行けるのかなあ」
「働いて金を貯めるしかあるまい」
京都最後の食事、十割蕎麦を食べる。
どんは美味しい美味しいとご満悦である。
この男は結局、ニコニコと終始笑顔で私の後についてきた。
もちろん道中喧嘩もしたが。
さぞかし楽しかったであろう。
もちろん、私も楽しかったし、どんが私の意見に反対しなかったせいか(反対どころか人のアイデアに乗って自分では思いつかないことをするのが好き)やりたいように出来たし。
そんなわけで、良くできた組み合わせの二人なのかもしれない。


駅への道を、とことこと歩く。
途中、お世話になった車夫さんとすれ違う。
新しいお客さんを乗せて、元気に挨拶して走って行く。
さよなら、お元気で、また会いましょう。
「楽しかったねえ。絶対、また行こうねえ」
どんはニコニコしながら言った。
日本の壮大な歴史に触れるという、新婚旅行らしからぬ旅だった。
フルムーンコースだと友人からは笑われたが、若い時にもこういう渋いものを見ておくと良いと思う。
素直に、この国を誇れるようになると思うから。
日本が育んできた良質なものを見聞きした充実感でいっぱいだった。
我ながら良い選択であったと思う。

もちろん、どんと出かければ、きっとどこだって楽しいのだろうけれど。


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1.トロッコがお休みだったので、代わりにD-51を撮影。
2.車夫さんの逞しい背中を見よ!
3.じゅうたん苔。左側の橋が渡月橋を表してるらしい。
4.テレビでおなじみの風景。左にこちらを写真に撮っている人が。事務所通してw(違)
5.黄門様が歩いていそうな…落柿舎。
6.落柿舎の門。
8.曹源池。
9.曹源池に映る紅葉。シーズン中はきっともっと鮮やか。
10.曹源池側から天龍寺。
11.天龍寺の門。
12.さよなら嵐山
13.駅前の理髪店の犬。ええとこに住んで幸せやね。

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食べたもの
15食目 朝食 旅館の朝ご飯(写真なし)
16食目 蕎麦処の蕎麦。席からの眺めもご馳走。

旅行中、相当量カロリーを摂取したものの、消費量もすごかったらしく、特に太りはしませんでした。