どんは真面目さの中に要領の良さを兼ね揃えた学会員である。
生活仕事家族学会活動の優先順位も常識的につけられる人間である。
そういうどんでも、やらかす時はやらかすのである。
それが創価クオリティ。

数日前の午後、携帯にどんからSOSメールが入った。
「仕事の〆切重なった、手伝って」
夫婦同業者の良さと悪さが同時に発揮される瞬間。
定時過ぎ、残業も片づけ、8時頃にレスキューデザイナーは夫のために帰宅。
待っていたのは3割くらい手をつけた(テキストや写真の大まかな配置だけというか原稿通りの場所に置いただけ)の両面チラシと追いつめられたどんの顔。
どんは、私の顔を見るや、パァァッと顔を輝かせた。

嬉しそうな笑顔なので「よしよし、なんでもしちゃうぞ」という気分になる。
フルタイム+残業で、ヘロヘロヘロな体力ではあるが。
どんの仕事場にある、2台並んだMacの空いた方に私が座り、二人並んで仕事をする。
その数十分後。

どんが不審な行動を取り始めた。

洗面所に入ったり、寝室に入ったり。ごそごそ、バタバタ。
嫌な予感がする。ものすごく嫌な予感。
予感ではない。分かっているが、ひとつ、目を反らしていることがある。
どんの今日の予定だ。
夜も更けた時間に、平気で開催しやがる会合だか会議だか打合せだかんだか。
創価?学会?♪
男子部か創価班の集まりがあるはずである。
メールを受け取った時点で、私は釘を刺していた。「優先順位を間違えるな。間違えたら手伝わない」
奴め…。

案の定、スーツに七三のどんが、おどおどした子どものように仕事場に現れた。

「どこへ行く?」
「学会の集まりです…」
「仕事を置いてか?」
「……はい」
「自分の受けた仕事を置いてか?」
「……はい」
「自分の受けた仕事を私に丸投げしてか?」
「……ごめんなさい」
「朝から晩までフルタイムで働いて帰ってきた人間に、お前さんの仕事をやらせて、お前さんは創価学会様の大事な大事な集まりに行くと?」
「……ごめんなさいごめんなさい」
「ほぉぉぉ。仕事の責任は学会活動の責任以下か、ほぉぉ、私を巻き込むか」
「……ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
ヘロヘロヘロな体力が一気にヘロヘロヘロヘロヘロヘロな体力になる。
どんはおどおどしながら私を見ている。

----説教タイム中(鬼嫁ぶりは自主規制)--------

板挟みにしても仕方がないのはわかるし、どんを体力的精神的に追いつめないためには私が仕事をすれば解決するだろう。
で、その学会様の用事の為に何故、私の体力と精神力を犠牲にせねばならないのかなあ。
大きな疑問だよ、これ。おかしいよ、これ。
同業なのを良いことに、会社勤めでヘロヘロ(省略)体力な妻に仕事をお願いして、自分は学会活動するのっておかしいよなあ。
おうおうおう、どんさんよう。しおらしく落ち込んでも、お前さん行こうとしてるのなんでだよ。

「社会人としても業界の先輩としても、尊敬は出来ないから、そういうの」
私の言葉に、どんは「その通りです」と呟く。
「妄信ではないと言う学会員でも、こういうことをしなければ学会活動は出来ませんってブログに書かせていただきます」
「はい…」
学会と妻の板挟みにされた可哀想などんは、壁づたいに移動しながら「ごめんごめん」と玄関を出ていった。

一人残された私は、ムカムカと画面と向かい合う。
目はショボショボするし、肩は凝るし、お腹は空くし。当然の事ながら、夕食の支度など出来るはずもなく。
携帯メールしてみたり、ブログのレスを返してみたり、体操してみたり、目を閉じてみたり、とぎれ欠けた集中力と痛む肩と腰と空腹を誤魔化しながら、仕事を続けて2時間後。

深夜営業のスーパーの見切り品のお寿司を買ってどんが帰宅。
甲斐甲斐しく世話をしようとするどんを制して、それを食べながらマウスを動かす。
とても不機嫌なわたくし。
どんの気遣いオーラを容赦なく無視しながら、日付は変わり深夜2時過ぎ、作業は終わった。

運の悪いことに、その日から私の仕事は立て込みはじめた。
寝不足の身体と頭を抱え、仕事に忙殺されるのである。
翌日帰宅すると、どんはいない。
同時中継の着任だか常駐だか参加だか、よく分からないがそんなことらしい。
仕事はもういいのか?と思っていたら、帰ってきたどんが開口一番「華ちゃん、手伝って」
ハァァァァ?!
「忙しいなら、活動休めばいいのに。当日に着任休んでる人いるじゃん。急な仕事で、とか言って。その度にどんがピンチヒッターで着任ついてるじゃん。その人たちに代行してもらえばいいのに」
「そうもいかないよ」
いかせろよ。
もしも納期に遅れたら、それだけ迷惑を被る人がいる。
仕事が立て込んでいるなら、学会活動を抑えるのが賢明な判断だと思う。
それをしないのかできないのか、どちらでもいいが、自分の責任なのに人に助けを頼むってどういうことだろうか。
私は手伝わなかった。
疲れ果てて帰ってきたのに、また手伝わされて深夜に及んだら、今度は私の仕事に支障を出さない自信がない。
私には私の体力と仕事を守る責任がある。
冷たいな、と思うのだが、私は元気ではない。ヘロヘロヘロヘロ(省略)な体力を回復しなければならないのだ。明日のために。
当然の話だが、どんが心配だ。しかし自分が犠牲になってしまうわけにもいかないのだ。
こっちだって板挟みじゃ。

そしてまた翌日、いよいよどんの尻に火がついた。
早朝に起きだし、仕事を始める。ああ、まただ。同時中継の着任だか常駐だかに行くんだ。
結果、午後の締め切りに二日連続クライアントを待たせる結果となり、その後やはり学会活動へ。
つまり、クライアントに迷惑をかけ、自分の体力と精神力を犠牲にしながら、どんはここ数日の学会活動の皆勤賞をもらったと、そういうことになる。
学会活動がなければ、どんは余裕で締め切りを守れたはずだ。
責任感を学会に利用されているというか、本人自身が自分の責任感に支配されているというか。
なんですか、それ。

私はというとその日も(というか昨日)会社で多忙を極め、ヘロヘロヘロヘロヘロヘロ(省略)。
一日でも午前様になると身体のリズムが崩れ、疲労回復しなくなってしまった。年齢ですか、これ。以前は徹夜しても結構大丈夫だったのに。

責任の皮をかぶった、強制にしか見えない。
意図せずか意図してか、つけこまれているともいうような。
自業自得自己責任、ではあるけれども。当たり前の顔してそこまで追いつめるのは言わずもがな創価学会。
学会活動では暮らして行けぬ。題目でお腹は太らないし、着任に給料は出ません。
大事な生活基盤に学会はまたしても侵入し、引っかき回していった。

今日も仕事があるのだが、それを片づけたら学会活動。予定外なんだけど用事があって呼ばれたんだと。
私は今日は休みだから、ちゃんとした食事をどんに食べてもらって、栄養補給させることが出来るけれど、どんのためにしていることが、学会のためになっている。
ダブルスタンダードの中に、アンチな私はいる。

思うのだが。
戦力たる学会員に倒れられたら困りませんか?
だったら手加減してくださいよ。
本当はさっさと潰れてしまえと思うんですけどね。
どんはなんだかんだと上手くこなしているけど、定期的にこんな風になるんです。
そうじゃない人は、どれだけ壮絶な活動をしているんだろうと思うと、その家族の心配を思うと、苦しくなります。
こないだ、どんの知り合いの学会員がまた倒れました。
選挙と仕事と学会と。ヘロヘロが100倍くらいだったんじゃないでしょうか。
今年で二人目です。
見ていらっしゃいますね、本部の方も、党の方も。
私たちの家族、殺す気ですか?